1 誤 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。(189条1項)悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。 前項の規定は、暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する。(190条1項、2項)よって、善意でも詐欺による占有者は悪意とはみなされず、果実の返還、かつ、代価の償還義務は負わないことになる。
2 誤 占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない。(191条)よって、善意の占有者が他主占有の場合は、損害の全部を賠償する義務を負うことになる。
3 誤 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。(196条1項前段)占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還させることができる。(196条2項前段)よって、有益費の場合は、占有物の価格の増加が現存する場合に限り、費用を償還させることができる。
4 誤 占有者は第198条から第202条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。 占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後1年以内に提起しなければならない。(197条前段、198条、201条1項前段)よって、行使期間は、妨害の消滅後1年以内に提起しなければならない
5 正 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。(200条1項、2項)占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない。(201条3項)