1 Aから生計の資本として贈与を受けた者がいるときは、Aが相続開始時に有した財産価格にその贈与の価格を加算したものを相続財産とみなし、法定相続分等の規定により算定した相続分からその贈与の価格を控除してその者の相続分とするので、Aがその持戻しの規定と異なる意思表示をしても、その持戻しは免除とはならない。
2 AがBに対して、その居住する建物について贈与をしたときは、Aはその贈与について持戻しの規定を免除する旨の意思表示をしたものと推定し、この場合の婚姻期間は10年以上とする。
3 Aの事業に関する労務の提供によりAの財産の増加に特別の寄与をした者がいるときは、Aが相続開始時に有した財産価格から相続人間の協議で定めたその者の寄与分を加算したものを相続財産とみなして、法定相続分等の規定により算定した相続分に寄与分を控除してその者の相続分とする。
4 Aに対して、無償の労務の提供によりAの財産の維持に特別の寄与をしたAの親族は、Aが相続開始時に有した財産価格から相続人間の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなして、法定相続分の規定により算定した相続分に寄与分を加算してその者の相続分とする。
5 Aに対して、無償の労務の提供によりAの財産の増加に特別の寄与をしたAの親族は、相続開始後、相続人に対して、特別寄与料の支払を請求することができるが、相続人間に協議が調わないときは、Aの親族は家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することができる。