1 BはA所有の建物に相続開始時に居住していなくても、その配偶者居住権が遺贈の目的とされたときは、その居住建物の全部について、無償で使用及び収益をする権利を取得する。
2 配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間であるが、遺言に別段の定めがある場合にはその定めるところによる。そして、Bが死亡した場合及び居住建物の一部が滅失した場合は配偶者居住権は終了する。
3 居住建物所有者は、Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負い、これにより具備後のBは第三者に対抗できるようになるが、不法占拠者への妨害排除請求をすることはできない。
4 Bが居住建物の使用につき、善管注意義務の規定に違反した場合に、所有者が相当の期間を定めて是正の催告をしてその期間内に是正がされないときは、所有者はBに対する意思表示によってその配偶者居住権を消滅させることができるが、居住建物の改築時に所有者の承諾を得ない場合は、その配偶者居住権を消滅させることができない。
5 居住建物が修繕を必要とするときは、Bはその所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならないが、所有者がすでにそのことを知っているときは通知しなくてもよい。