ア 社会観念上普通に遊戯具とされているパチンコ球遊器が物品税法上の『遊戯具』のうちに含まれないと解することは正当であり、原判決も、もとより、所論のように、単に立法論としてパチンコ球遊器を課税品目に加えることの妥当性を論じたものではなく、現行法の解釈として『遊戯具』中にパチンコ球遊器が含まれないとしたものである。なお、本件の課税がたまたま通達を機縁として行われたものであっても、通達の内容が法の正しい解釈に合致しないものである以上、本件課税処分は法の根拠に基づく処分と解するに妨げがある。
イ 元来、通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものであり、それは知事以下の行政機関を拘束するもので、これらの機関は右通達に反する行為をすることはできず、国民も直接これに拘束されることになり、従って、右通達が直接に墓地経営権、管理権を侵害したり、新たに埋葬の受任義務を課したりするものといえる。そして、現行法上行政訴訟において取消の訴訟の対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達中の趣旨部分の取消を求める本件訴訟は許されないものとして却下すべきものである。
ウ 国が、教育の一定水準を維持しつつ、高等学校教育の目的達成に資するために、高等学校教育の内容及び方法について遵守すべき基準を定立する必要があるが、教育の具体的内容及び方法につき高等学校の教師に認められるべき裁量は広く求められる。よって、高等学校学習指導要領は法規としての性質を有しない。
エ 本件奈良県告示によって2項道路の指定の効果が生じるものと解する以上、このような指定の効果が及ぶ個々の道は2項道路とされ、その敷地所有者は当該道路につき道路内の建築等が制限される等の具体的な私権の制限を受けることになるのである。そうすると、特定行政庁による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。従って、本件告示のような一括指定の方法による2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解すべきである。
オ 本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分をいう本件告示(平成31年総務省第179号告示)2条3号は、本件改正規定の施行前における募集実績自体を理由に、指定対象期間において寄附金の募集を適正に行う見込みがあるか否かにかかわらず、指定を受けられないこととするものといえるが、地方税法37条の2第2項柱書の募集適正基準については、同項の文理上、他の地方団体との公平性を確保しその納得を得るという観点から、本件改正規定の施行前における募集実績自体をもって指定を受ける適格性を欠くものとすることを予定していると解するのは困難である。そうすると、本件告示2条3号の規定のうち、本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は、地方税法37条の2第2項及び314条の7第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである。
1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 ウ・オ
5 エ・オ