1 預貯金債権に関して当事者がする譲渡制限の意思表示は、譲受人が重過失により知らなかった場合は、債務者は払戻請求を対抗することができるが、強制執行をする差押債権者に対しても対抗することができる。
2 将来債権譲渡に関して対抗要件具備前に譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人を悪意とみなして債務者の期待を保護して譲受人からの履行請求の拒絶を可能とするが、対抗要件具備後は譲受人は普通に善意なので譲受人を保護して譲受人からの履行請求の拒絶を不可能とする。
3 譲受人が譲渡制限の意思表示を重過失により知らなかった場合は、債務者は譲受人に対して履行請求を拒むことができ、かつ、譲渡人に対しても履行不要(債権者が移るので)になるので、譲受人は相当の期間を定めて債務者に対して譲渡人への履行を催告し、その期間内に履行がないときは、債務者は譲受人からの履行請求を拒むことができなくなる。
4 債務者は譲渡制限の意思表示があり金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の金銭を供託することができる。
5 債務者は自らの承諾が異議をとどめるか否かに関わらず、対抗要件具備前に生じた事由をもって譲渡人に対抗することができる。