1 銃砲刀剣類登録規則が文化財的価値のある刀剣類の鑑定基準として、美術品として文化財的価値を有する日本刀とサーベルに限る旨を定め、この基準に合致するもののみを我が国において価値を有するものとして登録の対象にすべきものとしたことは、銃砲刀剣類所持等取締法の趣旨に沿う合理性を有しない鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱する無効のものということができる。
2 被勾留者も当該拘禁関係に伴う一定の制約の範囲外ににおいては原則として一般市民としての自由を保障されるのであり、幼年者の心情の保護は元来その監護に当たる親権者等が配慮すべき事柄であることからすれば、法が一律に幼年者と被勾留者との接見を禁止しないことを予定し、容認しているものと解することができる。そうすると、監獄法施行規則120条及び124条は、監獄法50条の委任の範囲を超えた無効のものということはできない。
3 婚姻外懐胎児童が父から認知されることによって、法律上の父が存在する状態になるのであるが、認知によって当然に母との婚姻関係が形成されるなどして世帯の生計維持者としての父が存在する状態になるわけでもない。よって、児童扶養手当法施行令1条の2第3号が父から認知された婚姻外懐胎児童を本件括弧書により児童扶養手当法の支給対象となる児童の範囲から除外したことは法の委任の趣旨に反し、本件括弧書は法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである。
4 地方自治法85条1項は、専ら解職の請求に関する規定であり、これに基づき政令で定めることができるのもその範囲に限られるものであって、解職の投票についてまで政令で規定することを許容するものということはできない。本件各規定は、法85条1項に基づき公職選挙法89条1項本文を議員の解職請求代表者の資格について準用し、公務員について解職請求代表者となることを禁止している。これは法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものであって、その資格制限が投票手続にまで及ぼされる限りで無効と解するのが相当である。
5 新薬事法施行規則のうち、店舗販売業者に対し、一般用医薬品のうち第一類医薬品及び第二類医薬品について、当該店舗において対面で販売させ又は授与させなければならないものとし、さらに郵便等販売をしてはならないものとした各規定は、いずれも上記各医薬品に係る郵便等販売を限定して禁止することとなる限度において、新薬事法の趣旨に適合するものであり、新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効ということはできない。