1 〇 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。(107条) 代理権をの濫用に関しては、心裡留保と同じく外形的には相手方を保護する必要があるので原則は有効だが、相手方が知っていたときは相手方を保護する必要がないので、無権代理とみなされる。
2 ✕ 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。(108条1項) よって、双方代理は、本人双方の利益が相反するので無権代理とみなされるが、本人双方の許諾があれば利益が相反することはないので、無権代理とみなされず、有効となる。
3 ✕ 108条1項に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。(108条2項) よって、このケースは利益相反行為に該当するので、無権代理とみなされるが、本人の許諾があるので有効となる。
4 ✕ 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。(102条) よって、このケースは制限行為能力者である本人の保護が補えなくなってしまうので誤りである。つまり、取り消しが可能ということになる。なお、Bが任意代理人の場合は、本人の保護が補えるので取り消すことができないことになる。
5 ✕ 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。(105条前段) よって、Bが法定代理人ということは法で定められているから自由が効かない、ということにもなるので、負担を軽減する意味から復任が自由に認められている。なお、Bが任意代理人の場合は委任の規定により解除が可能であり自由が効くことによりその結果、復任は本人の許諾を得るか、やむを得ない事由があるときでないとできないこととなる。