1 BがAの承諾を得て甲建物(以下、「甲」という。)をCに転貸したときは、C は転貸借に基づくBの債務の範囲を限度として、Aに対して賃貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。よって、賃貸借契約が5万円で転貸借契約が10万円の場合、C はAに対して、5万円の支払義務を負う。
2 BがAの承諾を得て甲をCに転貸したときは、A は賃貸借契約の合意解除をもってCに対抗することはできないが、その時にAがBに債務不履行による解除権を有していたときの合意解除をもってもCに対抗することができない。
3 甲の全部が滅失により使用できなくなった場合には、賃貸借契約は終了するが、甲の一部が滅失により使用できなくなった場合には、それがBの帰責事由でないときには、賃料はその使用できなくなった部分の割合に応じて減額請求することができる。
4 譲渡人から譲受人への賃貸人たる地位の移転は当然に承継されるので、譲受人は所有権移転登記をしなくてもBに賃料を請求することができる。
5 譲渡人から譲受人への賃貸人たる地位の移転により、Bに対する敷金返還債務及び費用償還債務は譲受人に承継される。