改良住宅の使用と相続承継(最判平29.12.21)
争点 改良住宅の入居者が死亡した場合、その使用権が相続承継される余地はあるか?
理由 住宅地区改良法の規定及びその趣旨に鑑みれば、改良住宅は、住宅地区改良事業の施行に伴い住宅を失うことにより住宅に困窮した改良地区内の居住者を対象として、建設されるものということができる。また、法は、公営住宅の入居者が死亡した場合における使用権の承継について定めた公営住宅法を準用していない。そうすると、改良住宅の法に基づく入居者が死亡した場合における使用権の承継については、直ちに、住宅に困窮する低額所得者一般に対して賃貸される公営住宅の場合と同様に解することはできないというべきである。また、本件条例は、改良住宅の入居者が死亡した場合において、死亡時同居者に限り、市長の承認を受けて、引き続き当該公営住宅に居住することができると定めている。上記規定の趣旨は、前記のとおり、改良住宅が、住宅地区改良事業の施行に伴い住宅を失った者等の居住の安定を図る趣旨のものであることを踏まえて、改良住宅の入居者死亡時における使用権の承継を死亡時同居者に限定したものと解することができる。そうすると、本件条例24条1項は、法の規定及びその趣旨に照らして不合理であるとは認められないから、法29条1項、公営住宅法48条に違反し違法、無効であるということはできない。
結論 改良住宅の入居者が死亡した場合、その使用権が相続承継される余地はある。