公営住宅の使用関係と信頼関係の法理(最判昭59.12.13)
争点 公営住宅の使用関係に信頼関係の法理は適用されるか?
理由 公営住宅法及び条例の規定によれば、公営住宅の使用関係には、公の営造物の利用関係として公法的な一面があることは否定しえないところであって、入居者の募集は公募の方法によるべきことなどが定められているのであるが、他方、入居者が右使用許可を受けて事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、前示のような公営住宅法及び条例による規制はあっても、事業主体と入居者との間の法律関係は、基本的には私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはなく、このことは公営住宅法が賃貸、家賃等私法上の賃貸借関係に通常用いられる用語を使用して公営住宅の使用関係を律していることからも明らかであるといわなければならない。したがって、公営住宅の使用関係については、公営住宅法及びこれに基つ”く条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、公営住宅法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。
結論 公営住宅の使用関係に信頼関係の法理は適用される。